【技術情報】D-Project : グリーンフロア事業のベースとなる検証プロジェクト
CO2排出量 約80%削減を目標にし、本社ビルでその効果を実証したPJ
地球温暖化に対する危機意識をきっかけとしてスタートしたD-Projectでは、茨城大学工学部(沼尾研究室)と共同研究により、本社ビルから排出されるCO2を79.5%削減する解決策(期待値)を策定しました。
<解決策のポイントとCO2削減効果>
① 建物外皮に夏冬で性能が可変するダブルスキンシステムを導入し、62.6%削減(外皮性能向上に合わせて空調機能力を1/4にダウンサイジング)
② 屋上および西側ファサードに太陽光パネルを設置し、16.9%削減
2009年には、これらの解決策に基づいて改修工事を実施。その結果、目標値を上回る削減率91.5%(①74.0%+②17.5%)を達成しました(2010~19年平均値)。
ここ近年、地球温暖化がもたらす気候変動に対してパリ協定(2015年 COP21)やカーボンニュートラル(2020年)などで、CO2をはじめとする温室効果ガスに対して削減の声が世界規模で大きくなっています。
当時としては、まだこのような計画を実行する中小企業が少ない中でしたが、CO2を削減することによって温暖化対策に貢献できる企業を目指して実験を行いました。
このプロジェクトで得られたさまざまな知見や体験は、その後の省エネ製品の開発につながり、そして「グリーンフロア事業」へと発展しました。
空調 消費電力の実績値 比較 Before & After
平均的なオフィスビルでは、全体の消費電力において空調の消費量が約半分を占めるため、空調設備の消費電力を抑えることが省電力化(省エネ化)の重要なポイントとなります。
当実験における空調の消費電力量について、Before(改装前2006~08年の平均消費電力量)と想定の期待電力値、After (改装後2010~12年の平均消費電力量)の実績値を下記のグラフに表示しています。
結果として、After (改装後2010~12年の平均消費電力量)の実績値はBefore(改装前2006~08年の平均消費電力量)の実績値より約75%削減されました。
想定していた期待電力値よりも大幅に下回ることができ、空調設備の省電力化(省エネ化)が実証されました。
ZEB評価について
ダブルスキン(+太陽光パネル)の導入によって、ZEB評価『Nearly ZEB』を達成!
導入後、10年間にわたりCO2排出量の削減率86~94%を維持しています。
【ZEB評価とは?】
省エネルギー・創エネルギーのゼロエネルギー達成状況に応じて、下記のように段階ごとにZEBシリーズが定義されています。
環境省が説明をしている「ZEBの定義」のページはこちらから
D-Projectの成果について
実験実施後は、CO2排出量の大幅な削減(平均削減率91.5%)とともに、ZEB評価が示しているように建物の断熱、遮熱性能が格段に向上したことで、少ない設備容量でペリメータレスを実現することが可能になりました。
また、空調の電力消費量の実績値を比較しても、Before(実験前)に比べAfter(実験後)は約75%削減でき、省電力化を実現しています。
当実験のメインコンテンツは、建物の温熱性能を格段に向上させる外皮のダブルスキン化(ガラスパネルで建物を覆いスキンを2重にしたシステム)であり、このダブルスキンシステムは変化する外部環境(気象)に対し、適切な性能値に可変できる機構を持たせました。
実験を通じて、建物本体の省エネ性能の高度化は、省エネ効果だけではなく室内環境を劇的に向上させるポテンシャルを併せ持つことを再確認することができました。
この実証実験で得た知見と体験は、その後に続く省エネ製品の開発につながり、その製品を確認した『グリーンフロア事業』に発展しました。