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ソリューション事例

ダブルスキンにおける冬季の貫流負荷計算方法について

テーマ

建物の開口部における熱の出入りを考えると、下記の2つに大別することができます。

  • ① 内外温度差による熱移動(貫流負荷)
  • ② 日射透過による熱取得(日射負荷)

①貫流負荷は、一般的に外気温と室温の温度差によって計算が行われています。

冬季 : 暖房の効いた室内よりも外気温の方が低い。熱は室内から室外へ流れる(暖房負荷増加)。
夏季 : 冷房の効いた室内よりも外気温の方が高い。熱は室外から室内へ流れる(冷房負荷増加)。

しかし、D-Projectによるダブルスキンの研究を通して、主に冬季において、この熱流方向が変化する場合があることがわかりました。ここでは、その影響を考慮した貫流負荷計算について検討します。

ソリューション

下記は、一般的な開口部とダブルスキンの熱貫流方向と日射との関係をイメージ図とともに整理したものです。(計算条件 :日射700W/m2、ガラスの吸収率0.16)

(1) 一般的な開口部の場合

その熱貫流は、室内の熱が室外へ逃げていく方向です(外気温<室温)。これは、日射の有無に関わらず一定であると考えられます(相当外気温<室温)。

一般窓における熱貫流イメージ

(2) ダブルスキンの場合

ダブルスキンにおいては、日射の有無によって熱貫流方向が変化します。これは、日射がある場合、アウターガラスとインナーガラスで構成される空気層(キャビティ)が温室のように暖められて、室温よりも高くなったときに起こる現象です(キャビティ内温度 > 室温)。

ダブルスキンにおける熱貫流イメージ

このようにダブルスキンでは、室内空間と直接的に熱移動を行う対象がキャビティ空間であるため、貫流負荷を計算する場合、外気温と室温ではなく、キャビティ内と室温の差を用いることが必要あると考えられます。また、このときに必要なキャビティ内温度は、熱流体シミュレーションや熱平衡式による定常計算によって算出することが可能です。

参考

ダブルスキンの貫流負荷計算における温度差を(1)外気温 - 室温、(2)キャビティ温度 -室温とした場合について、D-Projectの測定データを用いて両者にどの程度の差があるのかを検証しました。その結果、それぞれの貫流負荷は(1)-2,830W/m2、(2) -2,089W/m2、つまり従来の計算方法をダブルスキンに適用すると、実際の数値より約26%の誤差が生じてることが判明しました。

計算方法別の熱貫流量の比較

計算方法 熱貫流 [W/m2]
熱損失 熱取得 合計
(1) 外気温 - 室温 -2830.0 0.0 -2830.0
(2) キャビティ - 室温 -2303.5 214.0 -2089.5  ▲26.2%
  • 計算方法(1) : 外気温と室温の測定値比較
  • 計算方法(2) : キャビティ温度と室温の測定値比較