トロポスとは?

トロポスとは、「ダブルスキン(2枚のスキン(ガラス面)を設けたシステム)」を構築するインナーガラスユニットのことです。

オフィスビルの既存開口部(既存窓)にトロポスを設置することで、そのオフィスビルの『グリーンフロア(建物本体に優れた省エネ性能をもたせることで、少ないエネルギー消費で、良質な室内環境を得ることができるオフィスフロアの創出)』を推し進めることができます。

写真: 既存窓の室内側にインナーガラスユニット「トロポス」を設置

トロポスは、「インナーガラスユニットに求められる機能・性能・意匠の高度化を目指しながら、同時に大幅な省資源(製造から廃棄まで)、省力化(製作から施工まで)も実現する!」ことをコンセプトとして開発された製品です。

(トロポスは、“従来の引き戸構造の改良ではなく、新たにゼロベースで開発された「上下2辺支持ガラスの引違方式」”を採用しています。)

トロポスの大きな特徴

①開口部性能の向上(次世代省エネ基準も十分に達成可能)

トロポスを設置することで、断熱性能(熱貫流率)と遮熱性能(日射熱取得率)が大幅に向上します(当然、外部騒音の低減も図れます)。

開口部性能の向上によって、室内環境の快適化と空調エネルギーの削減を実現できます。

図: トロポス設置前後の性能比較(断熱性能と遮熱性能の向上) 図: トロポス設置前後の性能比較(断熱性能と遮熱性能の向上)

上記の開口部性能を向上させることで、グリーンフロアを実現できます

②省資源化(製造から廃棄まで)

使用材料を最小化することで、フレームはシンプルでスリムな仕上がりとなります。

省資源化によって、環境問題にも貢献することができます。

図: 省資源化されたインナーガラスユニット「トロポス」についての説明 図: 省資源化されたインナーガラスユニット「トロポス」についての説明

③省力化(製作から施工まで)

施工の簡略化及び工期の短縮化を図ることができます。

これによって、コストパフォーマンスの向上にもつながります。

図: 四方枠の取付

1:四方枠の取付

上枠→ 下枠→ 竪(たて)枠の順に四方枠を取付けます。下枠には「上下2辺支持のFIXガラスにスライド機能を追加する特許技術」が組み込まれています。

図: ガラスの取付

2:ガラスの取付

下枠に組み込まれた特許技術により、トロポスを構成するガラスは框レス(フレームレス)のまま、四方枠に取付けていきます。
※従来の窓では、框にガラスをはめ込んでガラス障子をつくり、四方枠に取付けます。

図: カバーフレームの取付

3:カバーフレームの取付

開閉時の把手と召し合せ部の気密を確保する機能をもつ見付幅27㎜のカバーフレームを取付けます。
※カバーフレームとガラスの接合には、両者の熱伸びを吸収する特許技術が用いられています。

※省資源・省力化によって「1フロア(開口部面積130㎡)あたり2日間」で施工することが可能

④意匠性

トロポス(インナーガラス ユニット)の最大寸法は、3,000mm×2,000mmです。

一般的な窓のサイズよりも大きなサイズに対応可能なため、既存窓2枚分をトロポス1枚で作成することも可能です。

またトロポスは、「最小化されたフレーム」と「最高グレードのガラス」で構成されています。

ダブルスキンを構築するインナーガラス ユニットは、フレームが太かったり、色付きのガラスを使用すると、圧迫感が出たり、建物・室内のデザインを損なうことになりかねません。

トロポスは、その点を十分考慮して作られた製品になります。

図: 最大寸法は3,000mm×2,000mmのサイズまで対応できる高透過トリプルLow-E複層ガラス

 

トロポスは、最高グレードの「高透過トリプルLow-E複層ガラス」を標準仕様としています

通常のガラスよりも透明度が高い「高透過ガラス」と「トリプルLow-E複層(銀膜3層)ガラス」の 組み合わせにより、従来にない断熱・遮熱性能と採光性を両立させた、最高グレードのガラス材料です。

図: 高透過ガラス・トリプルLOw-E複層ガラスについての説明 図:高透過ガラス・トリプルLOw-E複層ガラスについての説明

トロポスの導入事例

写真: 野村不動産四ツ橋ビルの導入事例
野村不動産四ツ橋ビル

写真: 豊田工業大学新キャンパスの導入事例
豊田工業大学新キャンパス

写真: 某オフィスビル(九州)の導入事例
オフィスビル(福岡県)

トロポス導入による実証効果 【トヨタ自動車株式会社 本社工場 事務3号館における効果検証】

『年間の空調消費電力を24%削減!冬季のコールドドラフトも解消!』

2019年5月にトロポスを導入した事務3号館では、2019年7月~2020年2月にかけて導入効果の検証を実施しました。
開口部性能は導入前と比較して、断熱性能5.2倍(熱貫流率 U値 5.8 → 1.1W/㎡K)、遮熱性能2.6倍(日射熱取得率 η値 0.82 → 0.31)に向上。これにより、ふく射熱が低減されたり、コールドドラフトが解消されたり等、室内の温熱環境が向上しました。

トロポスの導入前後で比較すると、ブラインドの羽根開度が47%から84%とほぼ2倍になっていました。これは開口部性能の向上により、在室者が眺望や明るさを優先したブラインド操作を行ったためで、「オフィスの雰囲気がまったく変わり、明るくなった」と評判です。

また、開口部における夏季日中の冷房負荷を50%、冬季朝方の暖房負荷を81%削減し、暖冷房効率の向上(=空調エネルギー削減)にもつながっています。

図: トヨタ自動車株式会社本社工場 事務3号館における効果検証 図: トヨタ自動車株式会社本社工場 事務3号館における効果検証

トロポスの名前の由来

トロポス(Tropos)の名前の由来について

Troposphereとは、地球を取り巻く大気の層の一つ、対流圏のことをいいます。

いくつか重なる大気の層の中で、地球表面に接する高度0~約11kmの範囲が対流圏になります。

オフィスビルの既存開口部内部にTroposを設置することで、Troposと既存窓との間に熱伝導率が小さい空気層を生み出します。

写真: 「トロポス」の名前の由来についての説明